肩こりと歯痛


 歯が痛くなる原因は、むし歯や歯周病をはじめいろいろとあり、このコラムでも取り上げてきました。さらにこのむし歯や歯周病が起こる原因も歯の病気とは直接関係ないような部位や生活習慣などのこともあって、いろいろなリスクを書いてきました。
また逆に歯の病気が原因でからだのさまざまの部分が影響を受けることも、たびたびご紹介してきました。
 今回は、「肩こりと歯痛」の関係をみていこうと思います。肩こりと歯痛

 まず、「歯の痛みや病気が原因で肩こりは起こるか」について考えてみます。
実際に歯痛になったときのことを考えてみてください。できるだけ痛みを感じないように反対側で噛んだり、痛い部分を動かさないようなおかしな噛み方をしていませんか。
 このことは一時的かもしれませんが、かみ合わせのバランスを崩してしまいます。
顎、首そして肩は筋肉でつながっているので、かみ合わせのバランスがくずれると肩の筋肉に過度な緊張、つまり肩こりを起こすこととなります。
 また、歯の病気でやむを得ず抜歯した歯のあとをそのままにしておくと、隣の歯が傾いてきたり、歯と歯とあいだのすき間が広がったりして、これも噛み合わせのバランスを悪くし、肩こりをもたらすことがあります。
抜歯のあとは痛みが消えたからといってそのままにしておかないで、適切な処置をしてもらいましょう。

 続いて「肩こりが原因で歯痛やその他の歯の病気が起きるか」についてです。肩こりの原因にはさまざまなことがありますが、そのなかで大きな一つと言われているのが、姿勢の悪さです。
 パソコンやスマホの操作、読書、車の運転、手仕事などをするとき、多くの方は首を少し前に突き出す姿勢になっています。こうした姿勢を続けていると、首から肩の筋肉に緊張性の疲労が生じ、血流が悪くなり、肩こりを起こしやすくなります。さらにこの首を少し前に突き出す姿勢では、下顎はわずかに後方にずれます。下の歯もそれにつれて後ろにずれるので、今度は上の歯とのかみ合わせが変化してしまい、歯が浮いていると感じたり、痛くなったりということが起こることがあります。

 歯もからだの器官の一部で、さまざまな部位とつながっているので、抜歯のあとの処理はもちろん、からだ全体の調子に気を配ることが大切です。